初めての集団生活が始まり、

発熱や咳・鼻水などが続くお子さんもいるのでは。

 

また、夏場は熱中症にも気をつけたい時期です。

 

今回は、子どもの病気とカラダについてお話します。


少しずつ強くなっていくカラダ

 

 最近では、0、1歳から集団生活がスタートすることも珍しくはなくなってきましたね。集団生活が始まると、子どもたちは、発熱や咳・鼻水などいわゆる風邪の症状が頻繁にみられるようになります。

 

 今までは親子、または限られた人としか接していなかった世界が一気に広がるのが集団生活です。子どもの不調は心配ではありますが、必ずしも風邪をひくことは悪い事ばかりではありません。子どもたちは、風邪をひきながらも少しずつ体を強くして、大人になるまでに風邪をひきにくい体へと成長していきます。

 

 ただし、髄膜炎などの重症化が心配される病気は予防接種で防ぎましょう。今年ははしかが話題となっていますが、予防接種がなかった数十年前は、はしかにかかる子も多く、後遺症で言葉が話せなくなったり、歩けなくなったりする子どもたちもいました。現在は、予防接種で重症化を免れている病気もたくさんあるので、かかりつけの小児科医と相談しながら、予防接種をしていきましょう。


発熱時、観察の基本は「かきくけこ」

 

 発熱は、体の中にある病原体と闘っている証拠です。熱の高さと重症度は比例しないので、熱が高いから重症というわけではありません。

 

 発熱したときは、熱の高さよりも熱以外の症状をチェックしましょう。観察のポイントは、次の「かきくけこ」です。

 

「か」顔色
(顔色が青ざめていないか)

 

「き」機嫌
(機嫌はいいか)

 

「く」食欲
(食欲はあるか、水分はとれているか)

 

「け」血圧
(脈はいつも通りか)

 

「こ」呼吸
(息づかいに違和感はないか、咳の有無)

 

 小児科を受診するときは、これらの情報を伝えてください。このような具体的な情報は症状をいち早く把握して診断する手助けとなります。高熱を出しても焦らず観察し、お子さんの健康を守っていきましょう。


夏場に気をつけたい病気と対策

 

 これからの時期に気をつけたいのが熱中症です。外へ出かける時は帽子をかぶり、涼しい場所で過ごして水分をこまめにとるなど、熱中症対策をしっかりとしましょう。

 

 また、暑さによる脱水を防ぐには、水分だけでは足りないこともあります。脱水が心配される時は、経口補水液がおススメです。経口補水液は市販のものでもいいですが、家で作ることもできます。分量は、1ℓの水に塩1~2gと砂糖20~40gをよく混ぜて口に含ませましょう。熱中症が疑われる時で、もし回復しないときは早めに病院を受診し、意識がないときは救急車を呼びましょう。

 

 この他、夏場に流行る病気は、プール熱や手足口病、ヘルパンギーナなどがあげられますが、最近では季節に関係なく発症しています。また、風邪や胃腸炎、嘔吐・下痢なども年中みられます。このため特定の病気を防ぐというよりは、普段から免疫力を高める生活と手洗いの徹底が大切です。


じょうぶなカラダに育てるには

 

 風邪や胃腸炎にかかっても、重症化せず早く回復させるためには、免疫力を高める生活を心がけましょう。そのためには、食事、睡眠など子どもの生活リズムを整えることと、外遊びが大切です。たくさんの刺激がある自然の中で、身体全体を使って遊ぶことは、免疫力や体力を培い、病気に負けない体を作ることにつながります。毎日外遊びをするのはなかなか大変ですが、時間に余裕があるときはぜひお子さんを外へ連れて行ってあげてほしいと思います。   

 

 私たち小児科医は、子どもの総合医です。子どもの心や体で気になるときは、お母さん一人で悩まずに、まずはかかりつけの小児科に気軽に相談してください。夜間や休日に困ったときは、電話相談(#8000)や宮崎県小児科医会ホームページの救急案内もご利用くださいね。


子どもの病気とカラダについて

1. 発熱時は「かきくけこ」をチェック!
2. 夏場は、熱中症に気をつけよう!
3. 外遊び&生活習慣で免疫力UP!
4. 一人で悩まず、かかりつけの小児科医に相談しよう!
   (夜間・休日に困ったら♯8000へ)

 

※ 2018年8・9月号掲載


★教えてくれたひと

宮崎県小児科医会 会長
小児科医 髙山 修二 さん

日本小児科医会理事。

たかやま小児科院長(高鍋町)。自身の子育て期を振り返り、「今しかない子どもとの時間を、ぜひ楽しんでくださいね」と語る。