親も子どもと同じ、人間。

 

全てを完璧にこなせる人なんていません。

 

今回は、毎日頑張っているお母さんたちの心がちょっと元気になる子育てのコツをご紹介します。


今の自分の頑張りを認めよう

 

 皆さんは、家事や育児を十分にやれていないと落ち込んだり、もっとやらなきゃと焦ったりすることはありませんか。日々お母さんたちから相談を受ける中で、私がよく聞くのが「自分は頑張れていない」という言葉です。

 

 相談内容で多い子どもの偏食の例でお話します。子どもの偏食には、子どもの舌が未発達なことや匂いや味に敏感な特性があるなど、さまざまな要因が考えられます。でも、お母さんたちは、自分自身が食べさせる努力をできていないからだと考える方も多いようです。そんな時は、お子さんが食べられる食材に目を向けて「○○が食べられるんですね。」と、できていることに注目してもらうようにしています。私は、お母さんたちが子どものことを想って悩むこと自体、十分に頑張っている証だと思います。

 

 まずは、毎日頑張っている今の自分を認めてあげましょう。親自身が自分を認めることで、子どもの成長している姿や良い面が、もっと見えてくると思いますよ。


自分の性格を良い方に捉えよう

 

 人間の性格は、良い面と悪い面が表裏一体です。例えば、「掃除を隅々までできない雑な性格」だと思う場合は、「細かい事は気にしない、おおらかな性格」だと捉えられます。他にも、「細かすぎる性格」は、「きちんとしていて信頼される性格」。「みんなに嫌われたくない優柔不断な性格」は、「みんなに優しい」など、いつも気になりがちな自分の性格を良い方に捉えてみると、気持ちが楽になってくると思います。

 

 カウンセリングの考え方のひとつに、人間は元々、より良い自分でいたい、自己実現をしたいと良い方向に向かう力を持っていると言われています。もし、いま頑張れないのであれば、睡眠や疲れなど、他の理由があって、心がちょっと風邪をひいている状態なのかもしれません。自分の性格を良い方に捉える気にならないときは、まず、疲れた体や心を休めてあげることも大切なことです。


得意なことを生かした子育てをしよう

 

 お母さん業は、家事や育児、これに仕事や子どもの病気、親の介護なども加われば、1日 24時間あっても足りないくらいです。特に家事や育児には終わりがありません。すべてのことを頑張りすぎてヘトヘトになったり、うまくいかずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

 

 そんなときは、自分が得意なことに目を向けてみましょう。例えば、料理は苦手だけど子どもと遊ぶことは得意という人の場合、料理には力を入れず、子どもと遊ぶ時間をたくさんとるのもいいと思います。すべてを頑張ろうとせず、自分が得意なことを子育てに生かすことで、お母さん自身の心も健康に保つことができ、良い親子関係を築いていけるのではないかと思います。

 

 もし、得意なことがわからない場合は、やりたいことや日頃やっていることを書き出してみましょう。その中で、お母さん自身が自分らしくいられて、子どもとの時間を共有したいと思うことをみつけてみてください。


自分の心の健康を大切にしよう

 

 親の気持ちとして、子どもには自分の好きなことを見つけて、自信を持って生きてほしいという願いがあるように思います。普段の生活の中で、親自身が得意なことや好きなことをいかした生活を意識することは、子どもたちにとってもいい見本になるのではないでしょうか。「できないことや苦手なことがあっても大丈夫」と自信を持って子育てを楽しんでみてください。

 

 また、ストレスをためすぎて爆発してしまわないように、自分の体に出てくるサインを把握し、ときには休憩をとる勇気も必要です。子どもや家族のためにも、自分自身の心や体の健康を大切にしていきましょうね。


★ 心を元気にする子育て法

1. 今の自分の頑張りを認めよう
2. 自分の性格を良い方に捉えよう
3. 得意なことを子育てにもいかそう
4. 心がつかれた時は休むようにしよう

※ 2018年4・5月号掲載


★教えてくれたひと

宮崎市 総合発達支援センター
心理士 伊東 美和 さん

宮崎市総合発達支援センターおおぞらで心理士として15年間勤務。得意なことは、子どもと遊ぶこと。苦手なことは家事。2男1女のママ。