「子どもは何が好きなのか分からない」

 

「好きなことをどう伸ばしていったらいいか分からない」

 

という悩みを経験したことはありませんか?

 

今回は、子どもの「好き」を伸ばす親の関わり方についてお話を聞きました。


遊びの中から子どもの好きを探そう

 

 「子どもの好きなことを見つけてあげたいけれど、見つけ方が分からない」というお母さんの悩みをよく耳にします。そんなお母さんたちに、まずお伝えしているのが、子どもの好きは日常生活、特に遊びの中にあるということです。

 

 まずは、普段の子どもの遊びの様子、特によく遊ぶおもちゃをじっくり観察してみてください。例えば、木のおもちゃでも、組み立てて形をつくる遊びもあれば、パズルのように推理する遊び、役割になりきって遊ぶままごと遊びなど様々です。よく遊ぶおもちゃを観察してみると子どもの好きがきっと見えてくると思いますよ。

 

 また、いろいろな体験をさせることも大切です。子どもの興味の幅を広げ、その中に共通する子どもの好きを見つけてみるのもいいと思います。好きなことが多いと迷うこともあると思いますが、本当に好きなことをしているときは目の輝きが違います。普段から子どもの目の輝きに注目しながら子どもの好きを一緒に探してあげてくださいね。


子どもの好きを伸ばすポイント

 

 好きなことが見つかっても、それをどう伸ばせばよいのか悩まれる方も多いと思います。そこで、子どもの好きを伸ばすポイントをご紹介します。

 

 まず1つ目は、好きなことの話を聞いて褒めることです。子どもは好きなことの話を聞いてもらい、「すごいね」「頑張ったね」と褒められると、達成感や満足感を感じ、心が満たされます。このとき、結果だけではなく、頑張った過程も褒めてあげると好きなことや新しいことにどんどん挑戦しようという意欲が湧いてきます。

 

 2つ目は、子どもが興味を持った時に一緒に調べたり、親子で実際にやってみたりするなど、好きが深まるきっかけをつくることです。好きなこととの出会いが増えることで、興味や意欲が高まり、子どもの好きが伸びていきます。子どもが自らやりたい気持ちになった時に、周りの大人が気づき、興味や意欲が高まるサポートをしてあげてくださいね。


好きなことがもつ大きな力

 

 では、なぜ好きなことを伸ばすといいのでしょうか。実は、好きなことを幾度も繰り返し、楽しそうに遊んでいる時は、子どもが自分らしく輝いている瞬間なのです。さらに、好きなことを認めてもらうことで自分はありのままでいいんだという自己肯定感につながります。この自己肯定感が育つと、辛いことや苦しいことを乗り越えていく力になります。

 

 お母さんたちの中には、好きなことがあるから苦手なことも少しだけ頑張れたという経験はないでしょうか。これは、好きなことにチャレンジしてできた経験が、今度は苦手なことや弱い部分に挑戦し、克服しようとする力に変わっていくというものです。

 

 大人も子どもも万能な人はいません。苦手なことがあって当たり前です。しかし、好きなことが伸びることでこれらを乗り越える生きる力につながっていきます。


子どもの好きを伸ばす親子の会話

 

 子どもにとって、お母さんやお父さんからもらう励ましの言葉は大きな力になります。会話の中で、子どもの目の輝きが違うなと感じたら、それはお子さんが発する「好き」のサインだと捉え、「好き」な気持ちをたくさん応援してあげてください。大好きな親からもらう声かけには、子どもがやる気になる魔法の力がありますよ。

 

 もし、休日などゆっくりと時間がとれる時には、子どもと向き合い、好きなことや好きな遊びについて、ぜひゆっくり話をしてみてくださいね。1日のうちでリラックスできるお風呂の時間や寝る前の時間もおすすめです。

 

 忙しい毎日だと思いますが、子どもたちがキラキラと目を輝かせる瞬間を発見するのは子育ての醍醐味です。お母さん、お父さん。肩の力を抜いて、子育てを楽しんでくださいね。


子どもの「好き」に気付き伸ばすポイント

 

1. 普段の遊びを観察しよう

 

2.  子どもの目の輝きに注目しよう

 

3. 頑張りを認め子どもの好きを応援しよう

 

4. 子どもの好きを一緒に楽しもう

 

 

※ 2019年2・3月号掲載


★教えてくれたひと

宮崎県立看護大学
名誉教授  花野 典子さん

 

1998年から2015年まで同大学で家族看護学(小児)教授を務める。退職後は宮崎市内に遊び場プレイパークを作り、子育て相談などにも応じている。 著書『子どもの育ちを支える』