子育てをしていると、親が思うようにいかないことが たくさんありますよね。

子どもの行動にイライラしたり、「感情任せで強く言ってしまった」と後悔したり。

今回は、そんなときにぜひ使ってもらいたい、 『観察』という方法についてご紹介します。


子どもの行動の理由を考えよう

 

 子どもたちのさまざまな行動には、子どもなりの理由があります。例えば、洗面台で水を流しっぱなしにして遊んでいる子どもは水の感触や音が楽しかったり、手に当たる感覚が好きだったり。子どもは悪いことをしている感覚はないので、「水を流しちゃ、ダメ!」と言われてもうまく伝わりません。

 

 まずは行動を見守り、子どもは何をしたいのか、何が楽しいのかなど、行動の理由を考えてみましょう。行動の理由を考え、少し子どもの心に寄り添うことで客観的に子どもの行動をみることができます。

 

 さらに、「子どものこの行動は、どこまで許せるのか」自分の心に聴いてみましょう。水がもったいないと思ったら、「出てくる水の量を少し減らしてみる」「洗面器にたまるまでは水をためてみる」など、お互いに納得できる方法を探ってみましょう。すると、結果的に感情的に怒らずにすみます。子どもも満足して行動をやめることができれば、親子共に心が落ち着くことでしょう。もし、その時にうまく対応できなくても、自分の心が落ち着いた時に対処法を考えてみると、いいアイディアが浮かぶかもしれませんよ。


子どもの行動の特徴を把握しよう

 

 一日の生活の中でも特に忙しい朝。のんびりしている子どもに「早くしなさい」と怒ってしまい、気持ちのいい朝のはずが後味悪いスタートになってしまうという方も少なくないようです。

 

 そんな時は、子どもの行動時間をチェックしてみましょう。食の細い子であれば、食べることに時間がかかるので食事開始の時間を早くする。また、着替えに時間がかかる子であれば、着替えの時間にゆとりを持てるようにします。子どもの苦手なこと、一人でもできそうなことなど、特徴を確認してみましょう。苦手なことは慣れるまで大人がサポートしてあげると時間も早まり自分で出来るようになっていきますよ。


観察のためのおすすめアイテム

 

 毎日続く兄弟げんか。けんかも時には大事と分かっていても、親自身も疲れていると、冷静に対処するのは難しいものです。そんな時には、ビデオカメラや携帯電話のカメラを活用してみましょう。道具を使うことで親自身が冷静になる時間を持つことができます。また、あとでケンカの最中の映像を見せて、子どもたちに冷静に考えさせることもできます。

 

 困った行動だけではなく、片づけなどやってほしい行動があるときにも、「頑張っている子を撮るよ~」と言うと、子どもは自然と行動に移す傾向にあります。キッチンやリビングなど、親の近くに撮影道具を置いておくと、いろいろな場面で撮影でき、気づいたら成長記録になっていますよ。


観察で親の心も穏やかに…

 

 観察は、子どもを理解するための行動です。冷静に観察することで、親は客観的に子どもを見ることができるようになります。また、子どもの行動が少しでも理解できると、親の心も自然と落ち着いて穏やかになれます。

 

 幼児期はどうしても手がかかるので大変なことも多いと思いますが、親子で向き合える時間はそう長くはありません。子どもは、親のことが大好きなので、怒られても頑張ろうと思うものです。もし怒ってしまった時は、伝え方を考えて次に生かしていきましょう。いずれは手を離れていってしまう子どもたち。今の時間を親子で楽しく過ごせるといいですね。


『観察』するときの3つのポイント

1. 「困った行動だな」と思ったら子どもの行動をよく見ましょう。
2. 子どもの行動の理由を考えてみましょう。
3. 対処法や親子が楽しく過ごせる方法を考えましょう。

※ 2017年6・7月号掲載


★教えてくれたひと


宮崎大学附属幼稚園 教頭
宮崎国際大学 非常勤講師

福島 裕子 先生

「幼児期で一番大切なのは、良い行動を教え、できた時にしっかり認め、ほめることを繰り返すこと」と語る。幼稚園勤続28年。幼稚園教育の指導研究を行っている。