子どもの食事は大切だと分かっていても、 具体的にどうしたらいいのかよくわからないと思った経験はありませんか?

 

今回は、子どもの成長や発達に必要な栄養について教えてもらいます。


子どもの成長と栄養の関係

 

 「しっかり食べて、大きくなろうね。」  

 

 よく聞く言葉ですが、実際に3歳までの子どもの身長は、栄養の影響が最も大きいと言われています。子どもの身長は、1歳までに母乳やミルク、離乳食などで平均約20㎝伸びます。その後、徐々に食事から栄養を摂るようになっていき、3歳頃には生まれた時の2倍近くまで身長が伸びます。

 

 「身長があまり伸びていないかも」など、子どもの成長が気になる場合は、母子手帳の後ろについている「成長曲線」を活用してみましょう。子どもの身長と体重を記録し、成長曲線の範囲内を曲線に沿って成長している場合は特に問題はありません。多少の大きい、小さいは個性の一つなので、心配しすぎなくても大丈夫です。しかし、極端に成長曲線のカーブから外れているときは、かかりつけの小児科や保健センターなどへ相談してみましょう。


意外と多い、子どもの食事の必要量

 

 生まれたばかりの頃は母乳やミルクだけの生活ですが、 5、6ヵ月頃に入ると離乳食が始まります。子どもの離乳食について、厚生労働省の調査ではお母さんの約半数が食べる適量が分からないと答えています。国が設けた基準によると、 9~11ヵ月の1日の必要カロリーは男の子が700㎉、女の子が 650㎉、1~2歳児で男の子が950㎉、女の子が900㎉です。30歳の成人女性の必要カロリーが2,000㎉なので、1~2歳で成人女性の約半分のカロリーが必要ということになります。さらに、たんぱく質、カルシウム、鉄などは、体重1㎏あたりで比較した場合、幼児は大人に比べて2、3倍必要です。幼児期は、多くのエネルギーや栄養素が必要だということが分かります。

 

 ここまでお伝えすると、「うちの子、あんまり食べてないわ」と心配される方もいるのではないかと思いますが、基準は、あくまでも目安です。食が細い子は、食事の回数を増やしたり、間食で補ったりしながら必要量を確保しましょう。


幼児期に摂りたい5つの栄養素

 

 成長著しい幼児期に積極的に摂ってほしい5つの栄養素があります。一つ目はタンパク質です。皮膚や筋肉など体をつくったり、身長をのばしたりするのに重要な栄養素で、肉、魚、乳製品、大豆などに多く含まれます。二つ目はカルシウムです。骨の形成に役立つ栄養素で、牛乳や小魚、海藻、大豆などに多く含まれます。三つ目はビタミンDです。骨を丈夫にして、免疫力を高める栄養素で、魚やきのこなどに多く含まれます。四つ目は鉄です。血液をつくったり、脳など中枢神経の発達にもかかせない栄養素で、レバーや緑黄色野菜などに多く含まれます。五つ目は亜鉛です。身長の伸びにも影響する栄養素で、プロセスチーズやしいたけなどに含まれています。これらの栄養素が足りなくなると、脳や体の発達に影響がでるおそれがあります。

 

 幼児期は味覚を獲得する時期でもあります。色々な食材を使ってバランスのよい食事を摂りましょう。


子どもの食物アレルギーについて

 

 最近は、食物アレルギーを心配して、極端に多くの食品制限をしてしまうことで栄養不足や低身長になっている子どもがいます。しかし、最新の知見ではアレルギーになりやすい食品を遅く取り始めたとしてもアレルギーの発症率は変わらず、食品の摂取時期を遅らせることがかえってアレルギーの発症率を増加させるとの報告もなされています。離乳食の開始は5~6ヵ月が目安です。もし、アレルギーの症状が出た場合は、かかりつけの小児科に相談し、完全除去が必要か、つなぎまでは大丈夫かなど適切な診断をしてもらいましょう。

 

 また、この時期は家族で食卓を囲み、いろいろな味や食感を経験し、食べる楽しさを体験してほしいと思っています。幼児期は好き嫌いも顕著になる時期です。今は食べなくても諦めずに、気長に楽しくやっていきましょう。


★ 幼児期に摂りたい5つの栄養素

1. タンパク質…皮膚や筋肉など体をつくり、身長に影響

  【食品】 肉、魚、乳製品、大豆など

2. カルシウム…骨の形成に役立つ

  【食品】 牛乳、小魚、海藻、大豆など

3. ビタミンD…骨を丈夫にして、免疫力を高める

  【食品】 魚、きのこ、うなぎなど

4. 鉄…脳や中枢神経の発達に影響

  【食品】 レバー、牛肉、アサリ、ヒジキ、緑黄色野菜など

 

5. 亜鉛…体の成長、皮膚の形成、味覚の発達

  【食品】 プロセスチーズ、味噌、煮干し、卵の黄身 、しいたけ、ココアなど

 

参考:「小児臨床栄養学」/診断と治療社/2011年1月発行

 

※ 2018年10・11月号掲載


★教えてくれたひと

宮崎大学 医学部
小児科医 麻田 智子さん

日本小児内分泌学会、日本先天代謝異常学会などに所属。子どもの発育に関わる内分泌・代謝を専門とし、「乳幼児の栄養と身長」に関する講演等も行っている。