家事、育児に仕事や学校の役員など、さまざまな役割をこなすお母さん。

忙しさのあまり、子どもと関わる時間がないと悩む人も少なくないのでは。

 

そこで、限られた子どもとの時間の中での関わり方について聞いてきました。


大切なのは時間の長さではなく関わり方

 

 この季節は、新しい年度がスタートし疲れも出始める時期ですね。毎日の忙しさに追われ、子どもに関わる時間が取れないことを悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そんなお母さんにお伝えしているのは、関わる時間の長さではなく関わり方を大切にしてほしいということです。

 

 例えば、お迎えの後バタバタと夕飯の準備をしているときに、「ねぇねえ、お母さん」と声をかけられることもあると思います。そんな時は、10秒だけ手を止めて話を聞き「そうだったの。」と共感してあげましょう。

 

 子どもの心が一番満たされるのは話したいと思った時に話を聞いてもらえることです。なかなか時間を取れない方は、子どもが話しかけてきた瞬間を逃さずに共感して心を満たしてあげてくださいね。

 

 ただ、どうしても手が離せないこともあると思います。そんな時は「これが終わるまで待ってね」と待つ目安を伝えてあげましょう。そして、後で「待ってくれてありがとう」と伝え、 話を聞いてあげるようにしましょう。


たとえ短くても親子の時間を楽しもう

 

 子どもとの時間をとれずに悩むお母さんは、お子さんと長い時間一緒にいられなくて、心苦しいと感じることもあると思います。しかし、できないことを嘆くのではなく、短くても子どもと一緒にいられる時間を楽しんでほしいと思います。

 

 そこでオススメなのは送迎の時間です。園や習い事の送迎の時間は子どもと同じ時間を共有できるチャンスです。車の中や一緒に歩きながら、今日の出来事や普段話せていないことを話して親子の時間を楽しんでみてください。気負わず何気ない会話をするだけで十分です。

 

 子どもの話を聞くことも大切ですが、子どもにいろいろな話をしてあげるのもいいと思いますよ。他にも、お風呂の時間や寝る前の時間、仕事や用事のない休日など、お母さんの気持ちにゆとりがある時に親子で関わる時間をつくってみましょう。

 

 また、どうしても時間を作るのが難しいときは、寝る前や起きたときに子どもを抱きしめてあげるのもおすすめです。たとえ短い時間でも親子の大切な時間になると思いますよ。


兄弟姉妹がいる家庭の関わり方

 

 兄弟姉妹と同時に関わることは難しいものです。保育園でも、複数の園児から同時に「せんせ〜い、あそぼ〜」「せんせ~い、おしっこ~」と引っ張りだこになることがしばしばあり ます。そんな時は内容を聞いてから、一番に応えてあげないといけない子を優先しています。

 

 しかし、待たせる子どもたちには「待ってね」「待っててくれてありがとう」と伝え、その後ちゃんと一人ひとりの話を聞きます。子どもとの信頼関係は、こうした日々の会話と行動の積み重ねで少しずつ築き上げていくものだと思っています。

 

 ご家庭では、どうしても手がかかる下の子が優先になってしまうことも多いと思います。兄弟姉妹それぞれ平等に関わることは難しいと思いますが、上の子を我慢させているなと感じたら、意識的に上の子に話しかけたり、優先して関わってあげるようにしてみましょう。  


忙しいお母さんたちへ

 

 毎日の忙しい生活の中で、ゆっくり時間をとって子どもたちと関わることはとても難しいことだと思います。しかし、大切なのは関わる時間の長さではなく、短い時間でも子どもたちの心を満たしてあげることです。

 

 そして、そのためにはまずお母さんたちが自分自身の頑張りを認め、自分の心を満たしてあげることが大切です。家事が終わらず家の中が少しぐらい散らかっていたとしても大丈夫。すべてを完璧にできる人なんていません。家族のために、毎日仕事や家事を頑張っている。それだけで十分ですよ。できていないことにとらわれず毎日頑張っている自分を褒めてあげてくださいね。

 

 本当は毎日生きているだけでとても素晴らしいことです。当たり前のように感じますが、これ以上に感動的なことはないと思います。そんな素晴らしい毎日を親子で楽しく過ごしてくださいね。


子どもとの「関わり方」のポイント

 

1. 子どもが話しかけてきた瞬間を大切に

 

2. 短い時間でも、話を聞いて共感しよう

 

3. 待たせるときは、いつまで待つのか伝えよう

 

4. 待たせた後は「ありがとう」を忘れずに

 

5. ときには思いっきり抱きしめよう

 

 

※ 2019年6・7月号掲載


★教えてくれたひと

県保育連盟連合会 理事長

 

横山 槇子さん

 

宮崎市内の保育園で8年間保育士として勤務。その後市内3ヵ所の保育園で園長職を続けながら、女性初の県保育連盟連合会理事長に就任。宮崎の子どもたちの成長を49年間見守り続けている。